• 182 中勘助 銀の匙 110(後編6①) @ LeoN Radio 我らの文学

  • May 24 2024
  • Length: 34 mins
  • Podcast

182 中勘助 銀の匙 110(後編6①) @ LeoN Radio 我らの文学

  • Summary

  • ラジオ収録20240512

    「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)中国語訳監修 李可心 孫軼凡

     岩がちの岬の根もとに近いところに一軒だけはなれて立つた静な宿についたときにはもう日が沈みかかつて、その日を包んで燃えたつ雲が車のやうにまはつてゐた。それがだんだん赤くなり、紫になり、藍色になり、空の色とひとつになつて消えてゆく。

    <岩がち→風化により生じた岩石の断片、岩くず。岬(みさき)→海に突き出した陸地の先端部分。一軒(いっけん)→一つの建物、一戸(いっこ)、宿(やど)→民宿>

    当我们抵达那栋孤立在遍布岩石的海角下的僻静旅馆时,太阳已经西沉,燃烧的云朵包裹着它,像车轮一样翻滚不息,逐渐变红、变紫、变蓝,最后和天空的颜色融为一体,消失殆尽。


    縁側の柱につかまつて岬に砕ける波が燐光をはなつのを眺めてると気管のへんがゑぐくなつて涙がとめどもなく頬をつたはる。それを柱にこすりつけこすりつけしてこらへながら はやく明日になつてくれれば とただそればかり思つてゐる。雨もよひの風がひゆうひゆうと松を鳴らしてなにかの湧いてくるやうに虫がなく。

    <縁側(えんがわ)→和室と外との間の空間、廊下。燐光(りんこう)→生体物質が腐敗して酸化したときのように、黄燐が空気中で酸化して発する青白い光。へん→辺。蘞(えぐ)い→アクの強い、嫌な刺激のある味覚、どぎつい。とめどもなく→終わるところがない、際限がない。雨(あま)もよい→雨模様>

    我抱着走廊上的柱子,望见浪花在海角碎裂,闪现粼粼的光,喉咙又开始发涩,眼泪再一次止不住地往下流。我拼命忍耐,把眼泪蹭在柱子上,一心想要明天快点到来。下雨了,瑟瑟的风吹得松涛阵阵,虫鸣也渐渐响起。


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