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市場の風を読む

By: Morgan Stanley
  • Summary

  • モルガン・スタンレーが配信する金融ポッドキャスト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)では、マーケットに影響を与える様々な事象について当社のソートリーダーによる考察をお届けします。

    © Morgan Stanley & Co. LLC
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Episodes
  • 中央銀行でも時に判断を誤る理由
    Jul 3 2024

    中央銀行は金融政策や景気変動の緩和において重要な役割を果たしています。しかし、支配力があるにもかかわらず、景気の波の中で素早く舵を切ることができない理由があります。この点について、弊社コーポレートクレジットリサーチ担当者が解説します。

    このエピソードを英語で聴く方はこちら。


    -----トランスクリプト-----


    「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    今回はモルガン・スタンレーのコーポレートクレジットリサーチ責任者であるAndrew Sheets(アンドリュー・シーツ)が、景気の波の中を舵取りする中央銀行についてお話しします。このエピソードは7月3日水曜日にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    中央銀行は金融市場の中で最も影響力のある機関のひとつであり、世界中の投資家が中央銀行の発する言葉と、次の動きに注目しています。もしそうであるなら、近年は特にそうだったように思います。中央銀行はコロナ禍の最中にまず債券市場に積極的に介入し、その後、過去40年で最速のペースで利上げを実施したためです。

    さらに言えば、これをもう一歩進めることもできます。投資家の多くは中央銀行が市場で最も影響力の高い機関だと言うでしょう。その他はすべて二の次だと。

    しかし、この市場と経済に対するFRBの支配力という見方には注意すべき点があります。FRBは持てる力のすべてを尽くしても、1990年の景気後退を回避できませんでした。ITバブルの崩壊や、2001年の景気後退も回避できませんでした。2007年から2009年にかけての世界金融危機と大不況も回避できませんでした。過去35年間の信用損失の大部分はこれらの時期に発生しています。つまり、中央銀行が持てる力のすべてを尽くしても、このような景気後退や、それに伴う信用のデフォルトサイクルは繰り返し発生しています。

    その理由は多岐にわたり、議論の余地があります。ただ、重要な点は、経済はいわば巨大タンカーのようなもので、迅速な方向転換が難しいことにあります。事前に十分な調整が必要で、さらには危険の徴候がはっきりと見えるかなり前に舵を切る必要がある場合が多いのです。

    FRBは現在も景気のブレーキを踏み続けています。政策金利はFRBが景気をふかしも冷やしもしないと考える、いわゆる中立金利を大幅に上回っています。いわばブレーキペダルに足を乗せたままにしている理由は、今年に入ってインフレ率がまだ予想を上回っているからです。

    しかし、インフレはここ2カ月間で急速に鈍化しています。弊社エコノミストの予想では、この傾向は今年下期に加速する見通しで、最終的にFRBは9月と11月と12月に利下げを実施すると思われます。

    経済指標が強いうちは高い金利とインフレの鈍化が問題になることはありません。ただ、経済指標はこのところ軟化しています。指標の軟化が続けば、債券投資家は中央銀行がすでに過去のデータである高いインフレ率を過度に重視し、この先景気が鈍化する可能性を軽視していることを懸念すると思われます。経済という船の舵を切るには遅すぎるかもしれないという心配が再来するでしょう。

    強調しておきますが、このようなシナリオになる可能性は今のところは低いでしょう。ただ、中央銀行の反応の遅さは、これまで幾度も繰り返されたように、クレジットの最大の弱点です。夏に向けて、経済指標が持ちこたえることがますます重要になります。

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    5 mins
  • 住宅市場の見通し:価格上昇は緩やかに
    Jul 1 2024
    住宅価格も家賃も上昇する中、住宅市場とインフレの関係、その結果として生じる金融政策について、モルガン・スタンレーのグローバル・チーフ・エコノミストが解説します。このエピソードを英語で聴く方はこちら。-----トランスクリプト-----「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回はグローバル・チーフ・エコノミストのSeth Carpenter(セス・カーペンター)が、住宅市場、インフレ、成長、金融政策についてお話しします。 このエピソードは2024年7月1日月曜日にニューヨークで収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。成長やインフレ、その両方を合わせた金融政策まで、マクロ経済を巡る多くの議論の中心になっているのが住宅です。高金利にもかかわらず住宅価格の上昇は続いています。これを受けて一部の人にはこれが物価の下落が進んでいない印象を与え、時に消費者は非常に難しい選択を迫られます。また一部の国や地域では、住宅市場が金利上昇に反応していないようにも見えます。こうした要因は全て、金融政策の有効性に疑問を投げかけるものです。では現在地はどこなのでしょうか。金融政策は通常、住宅市場に影響を及ぼしますが、我々はその効果がまだ波及しつつある段階なのだと考えています。ただ、供給不足のほか、一部地域では建設用地や建設許可といった特殊要因が住宅価格を支えているのです。また現在のビジネスサイクルでは複数の業界で見られる通り、過去のサイクルとは異なる要因が存在します。米国では住宅を巡る議論のカギを握るのが住宅ローン固定金利です。弊社のストラテジーチームによると、現在の新規住宅ローン金利と平均実質ローン金利の間には、記録的な開きがあります。そして住宅ローン全体に占める30年固定金利の割合は10年ぶりの高水準になっています。その結果、中古住宅の在庫が少なくなっています。既に極めて低い金利のローンを組んでいる人々は、必要に迫られない限り住宅を買い替えようとしないからです。住宅市場は供給が減り、厚みがなくなってきています。経済全体般への影響を考えるならば、住宅ローン金利の固定で労働力の移動が減り、労働市場に摩擦が生じるリスクもあります。FRB(米連邦準備制度理事会)が我々の予想通り緩やかな緩和サイクルに入るのであれば、住宅ローン金利も下がるでしょう。ただ、金利の低下もやはり緩やかなものとなり、住宅ローンの金利差は狭まったとしても完全にはなくならないでしょう。住宅の供給は多少上向いたとしても、大幅には増加しないかもしれません。住宅ローン金利の低下は需要の高まりにもつながるため、需要と供給の両方の変化を差し引きして何が残るか、という視点で考える必要があります。我々は最終的に、住宅価格の上昇ペースは緩やかになるものの、はっきりと下落に転じることはないと考えています。多くの家庭にとって、住宅に関する最初の選択は「買うか借りるか」です。住宅価格も住宅ローン金利も高ければ、購入はしづらくなり、賃貸を選ぶ人が増えて家賃が上昇する可能性があります。過去数年の家賃急上昇の背景にある理由の一つがこの現象です。より長期的には、住宅価格と家賃の間で裁定取引のような状況が生まれるはずです。住宅価格の上昇は、初めてマイホームを購入する層の購買力には影響を及ぼしかねないものの、既に家を持っている消費者の信頼感を改善させ、消費を押し上げる効果も予想されます。では、先ほどお話しした住宅ローン固定金利はどうかといえば、固定金利はある程度、消費の増加を促す可能性があります。キャッシュフローの見通しが立ちやすくなり、月々の支払いがかなり低く抑えられるからです。以上の話をまとめると、住宅市場が物語っていると考えられるのは、金融政策は現時点で従来ほどの効果は発揮していないものの、機能していないわけではない、ということです。住宅価格の上昇は緩...
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    6 mins
  • 日本の経済・市場の世代交代
    Jun 20 2024

    弊社のアジア・チーフ・エコノミストが、日本の復活の背景にある主なドライバーと、日本の今後の道筋について楽観的な見解を説明します。


    ----- トランスクリプト -----


    「市場の風を読む」Thoughts on the Market へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    今回は、モルガン・スタンレーのアジア・チーフ・エコノミストを務めるChetan Ahyaが、弊社リサーチ・チームが日本経済の歴史的変化を楽観視している理由を説明します。このエピソードは2024年6月20日にニューヨークで収録されたものです。英語でお聴きになりたいお利きになりたい方は 概要欄に記載してあるURLをクリックしてください。

    弊社はかなり以前から日本に対する強気姿勢を維持しており、明らかに日本では現在、30年に1度の変化が起こっていると考えています。かつて「失われた数十年」と言われた国で、現在は名目GDP成長率や株価指数が数十年ぶりの高水準をつけています。

    現在の状況は、過去30年間のかなりの部分を占めた、低い名目GDP成長率やデフレを伴うマクロ経済環境から、はっきり脱却したと弊社は考えています。それどころか、日本は新たなより力強い均衡状態に向かっています。インフレは小幅な水準を維持しており、賃金は30年ぶりの高い上昇率になりました。賃金上昇の物価への転嫁が健全な水準に上向き、名目GDP成長率は過去32年で最も高くなりました。

    今後、名目GDP成長率は中期的に2.5%前後で維持される見込みです。実質賃金は中期的に年率1.2%のペースで上昇すると弊社は予想しています。ROEはこれまでに改善しており、国内のマクロ環境改善とコーポレートガバナンス改革の継続から見て、上昇が続く見込みです。弊社の株式ストラテジストは日本株のオーバーウェイトを維持しており、2025年央のTOPIXの目標を3,200に引き上げました。現在の水準からの上値余地は18%です。

    このサイクルにまだ前進の余地があると弊社が考える重要な要因が2つあります。第1に、日本は、実質金利と実質GDP成長率の差が望ましい水準で金融緩和政策が維持されると考えられます。実質金利と実質GDP成長率の差は、政策による緩和の度合いを示す指標であり、債務の対GDP比率の拡大ペースを把握するものです。日本では今回のサイクルで、両者の差が、リフレとレバレッジ解消に必要な水準である2%を超える水準にこぎ着けています。

    第2に、実質金利と実質GDP成長率の望ましい差が、賃金と物価上昇の好循環が始まる助けになっています。企業はこれまでに染みついた賃金と価格を据え置く慣行を捨てようとしています。弊社の推定によれば、過去に比べてはるかに大幅に賃金上昇が物価に転嫁されています。

    こうした2つの要因を念頭に、弊社は今後18ヵ月間、名目GDP成長率は持ち堪え、中期的に2.5%を維持すると弊社は予想しています。

    2024年と2025年のインフレ率は2%かそれを上回る水準になり、中長期的には1.5%-2%のレンジで推移すると予想しています。このより高い名目GDP成長率と低い実質金利の新たな均衡状態は、日本の設備投資のトレンドもサポートするでしょう。

    弊社では、今後も日本経済復活の道筋について、最新情報をお届けして参ります。

    ご清聴ありがとうございました。このポッドキャストを気に入っていただけましたら、ご利用のメディアでレビューをいただき、「市場の風を読む」をご友人・ご同僚にシェアしていただければ幸いです。



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    5 mins

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